「底辺」って思われてる清掃業。
「清掃業はやめておけ」と一般的には言われているようです。
そういえば、学校や会社でも、「罰として」とか「反省の形として」みたいに掃除させられるシーンって、あるよね。
デパートやショッピングモールのトイレを清掃する係の人も、なぜか「すみません」と頭を下げながらトイレ掃除をしてたりしない?
清掃を頼む側だけじゃなくて、もはや清掃する側まで「清掃業は底辺」と思ってる。
めちゃくちゃネガティブに扱われてる職業、それが「清掃業」!
ところが、在り方と考え方をちょっと変えて実際に清掃業を続けてみたら、
- 毎日がデート
- 1日のうちのほとんどが自由時間
- たくさん感謝をもらえる
- 清掃業なんてやめとけって1回も言われたことない
などなど、私にとってはかなりパラダイスな職業でした!
清掃業を生業にしている身としては、世の中に「清掃業はやめておけ」という風潮があって競争率は低いのに、めっちゃ需要はあるから、密かにラッキーと感じながら過ごしています。
(サラリーマンを辞めたいなら、偏見とか一旦置いといて、ひとまず清掃業始めちゃってもいいのに)
私がそう感じる理由を、この記事では書きたいと思います。
働き方の希望(ハルカ編)
ハルカは、なんでもいいから、サラリーマンを辞めたかった。
サラリーマンじゃなきゃ、なんでも良かった。
定刻に出社して、定刻までそこに居ることが、とにかく苦痛。
学校も、同じように「そこに居続ける」ことが苦痛で、続かなかった。
そういう人って、結構たくさん居るんじゃないかな?
学校というものから解放された時は、「やっと自分の人生が始まる」と、私は思った。
けれど、「その場に居続ける」のが苦痛なくせに、社会人として働く時に探したのはサラリーマンとして雇われる仕事1択だった。
今思えば、それしか知らなかった。アルバイトでもパートでも正社員でも何でもいいけど、
「雇われる」ということしか知らなかったのです。
20代はいくつか雇ってもらって働いたんだけど、もちろん「その場に居続ける」が苦痛なもんだから、当然何を仕事にしても苦しくてヤバい。
この先、何十年もサラリーマンをするのは、自分にはきっと不可能だと感じていた。
ハルカは、サラリーマンじゃなくて、でも生活のために現状と同じくらいは稼げて、分かりやすい特技とか資格の無い自分でもできる仕事がいいと思った。
働き方の希望(タクヤ編)
一方のタクヤは、サラリーマンとしての仕事に不満があるわけでも、満足していたわけでもなかった。
タクヤがサラリーマンに対して気になっていたのは
「サラリーマンをしている限り、どんなに働いても稼げる金額は劇的に増えない」ということでした。
タクヤは、ハルカよりも1歩進んでいて、サラリーマンの年収に限界があるなら自分で起業するしかないというところまでは考えてた。
けれどここで1つの壁が立ちはだかるのです。
「サラリーマンで収入も自由な時間も限られてるのに、起業するために大金なんて作れないじゃん」
親や兄弟を当てにできる環境でもなかったし、サラリーマンで稼いだお金の多くは生活費に消えていく。
だけど、起業するとして、例えば自分のお店を持つには何百万円、何千万円というお金がかかる。銀行に借りるとしても数百万円は貯めておかないとお話にもならない。
ここで当時よく言われたのは、
「本当に店を持ちたいなら、気合いでしょ」的な精神論。
いや、分かるよ?そりゃ、本当に店を持ちたいならお金を貯めろよって話だよね、分かるよ〜!
でもさ、
ぶっちゃけ
無理じゃね?
月に3万円貯金したとして、1年間で36万円。10年間でやっと360万円。
なんか無理じゃね?やったとしても10年後からやっと自分の店を持てるかどうかって話でしょ?
ん〜なんか現実味がなくて想像できない。
これがタクヤのリアルでした。
働き方の希望(2人編)
正直なところ、ハルカには「やりたい職種」があるわけではなくて、ただサラリーマン以外の働き方をしたかったんです。
ハルカは「働き方」にこだわったので
「〇〇の働き方なら、これくらい稼げてこんな感じで生活できる。」
「△△の働き方なら、これくらい稼げてこんな感じで生活できる。」
そんな考えをタクヤに伝えるんですが、タクヤには響きません。
タクヤは「せっかくサラリーマンじゃなくなって自分のチカラで稼ぐなら、やりたいことで稼がなきゃつまんないし、続けるの辛くない?」と思っていたのです。
タクヤは「やりたいこと」にこだわっていたので、「働き方」重視で持ってくるハルカの職種が、毎回全く理解できませんでした。
ハルカも「なんか私たちの話し合いって論点が合ってないな」と感じました。
そこである日、こんな聞き方をしてみました。
ハ「〇〇をやりたいとは言っても、節約して今の生活を変えてまでやりたい訳ではないんだよね?」
タ「うん。今の生活が苦しくなって、その生活を何百万円も貯めるまで続けるのは無理かなあ」
ハ「じゃあさ、本当に〇〇を心からやりたいなら、それをサラリーマンで続ければいいじゃん?」
タ「まあね。」
ハ「でも、サラリーマンで続ける方も、100%納得してる訳でもなさそうだよね?」
タ「これ以上稼げることはないって分かってるから、この先も自分の人生が、大きく変わることは無いだろうな〜とは思うよね。そうなると、もっとこうしたいなとか思っても、「どうせ出来ないな」っとはなる。」
ツ「どれくらい毎月あれば、「どうせ出来ない」が無くなりそう?」
オ「今の給料の倍くらいは欲しいかな」
ハ「倍あったら、確かに可能性は広がるよね。倍になった分を貯めれば〇〇に近づくのも早まるかもしれないし、もっといいアイディアが出てくるかもしれないし♪」
タ「そう!」
ハ「給料が今の倍になったら、私も嬉しいなあ。私も、お金は欲しいもん。」
タ「お金は大事だね」
ハ「うん。だから私は、やりたいことより、まずそもそもお金が稼げるようになることが先決なんじゃないか?って思うようになった訳なの」
タ「あ、そういうことか!」
ハ「そう。ぶっちゃけさ、まずはお金のことしか考えてない気がするんだよね。お金稼ぎたいって。やりたいことで稼ぐとか、キレイ事は抜きにしたら、まずは、お金じゃない?」
タ「確かに!そうかも!それだわ!」
ハ「でしょ?今はサラリーマンしかしてなくて、起業で食べてる訳じゃ無いんだから、もうどの起業でも食べていけて『起業成功です!』って言い切れる状態になろうぜ?って話な気がするんだよね。 私はその時点で納得だし、タクヤは今の給料の倍稼げれば、一旦目標達成じゃん? 倍稼げたら、お金も貯めれるし、その頃には起業の成功体験を持ってるし、〇〇も成功するんじゃないかな?」
タ「言われてみれば、そうかも! 一度にお金とやりたいこと、2つとも手に入れようとしてたけど、別に1つずつ手に入れたって良いんだもんね!」
ハ「うん!」
こんな会話をしたことで私たち夫婦は共に
- お金がたくさん欲しい。1万円とか3万円とかじゃなくて、毎月給料が倍になるくらいは最低でも欲しい。
- サラリーマンじゃなくお金が稼ぎたい。つまり、起業で成功の状態になりたい。
この2点が共に一致していることに気がつきました。
突然舞い込んだ清掃業
夫婦の共通目的が分かった頃、丁度よく「清掃業で起業しないか?」というお誘いが舞い込んできました。
今思えば、目的が明確になったことで、『清掃業はやめとけ』と言われる職種であっても、
「あ、これ、自分たちの目的と一致するかも?」とアンテナが働いたのだと思います。
「清掃業なら多分できるな。」と思いました。
家の掃除ならたまにはやるし、資格とか取るより簡単に始められそうな感じがしました。
しかも清掃業ならできると感じた大きなポイントは、
清掃業の起業は、初期投資がほとんど無い。
という点でした。店舗を構えなくてもスタートできるし、揃えるものも限られているので、起業の中では破格に近い初期費用で、細かいことを気にしなければ極端な話「明日から」でも始めることができます。(実際は明日から、は流石にやめといた方が良いですが、その話はまたどこかで…)
私たちは、自分たちの目的のために、清掃業を選んでみることに決めました!
実際どうなの?清掃業(虫編)
清掃業といえば、汚いとか、虫との戦いとか、どんよりムードなイメージがあって、正直なところ少し覚悟していました。
特に私がビクビクしていたのは、『G』!! 黒くて動きの速い!あの子たちです!
もう、それはそれは苦手で、そこだけは「慣れることってあるの?」と、心配でした。
ところが、私たちがお誘いいただいた清掃業は、そんなイメージとは全く違ったんです。
どんな清掃業かというと、賃貸の部屋に空きが出た時、次の人のために部屋を丸ごと綺麗にする「空室清掃」というものです。
空室とは言っても、Gなんて出る部屋はたくさんあるだろ!っとかなり身構えていたんですが、これが不思議なことに、ほとんど遭遇しないのです。
遭遇しても、1年に1回、見るか見ないか?くらい。
Gよりも、クモは毎回のようにいらっしゃいます。カメムシも場所や時期によっては居ます。
ただ、タクヤはどの子たちも気にしないし、ハルカも『G』様以外なら大丈夫なので、虫問題はこの起業で弊害になることはありませんでした♪ラッキー!
実際どうなの?清掃業(気配感じちゃう編)
あと、事故物件とか、気配感じちゃうとか、そういう心配もあるのかなと思います。
実際私たち夫婦は無頓着なのか、全然平気。
それより、生きてる人の気配の方がよっぽど感じます…
例えばですね、「あ〜、この部屋、上手くいってなかったかもなあ」とか。なんか問題あったんだろうなあ。みたいなのは結構感じます。そんな時は「次の部屋では穏やかな人生を歩めてたらいいな」と思っています。
生きてる人の気配については、下の記事に近いことを書いてみました。
ただ、霊感の強い人などは向いていないとは言われている気はします。
実際どうなの?清掃業(仕事内容編)
部屋に掃除機をかけたり、トイレをトイレ用洗剤で掃除したり、お風呂の汚れをスポンジと洗剤で洗ったり。
家の中の掃除って、少しは想像がつきますよね?
空室清掃は、ざっくりいうと『それ』です。
- それの超速い版(慣れていくと早くなるだけ)
- それの超丁寧版(慣れてくると見える範囲が広くなるだけ)
と、まあ、そういうことです。
つまり、だたの掃除です。頼むまでもない、ただの掃除です。なので、お金を払うのが勿体無いと思う人は、自分でもやれますので、自分でやれば良いだけのことなんです。
ところがですね。
ただの掃除なんですが、これが普通の人にはできない!
ということが分かってしまいました!
なぜなら、日常生活の中で、毎日真剣に汚れだけに向き合ってる人なんて少なすぎるのと、自分の汚れは特徴が分かっても、他人の汚れの特徴は知らない場合がほとんどだからです。
だから、特に空室清掃においては、例えばその不動産のオーナーさんが「清掃代を浮かしたい」がために自分で掃除してみると、勝手が分からなすぎて数日かかったりします。
でも清掃業を専門にやっている私たちがやると、オーナーさんがヘトヘトになって数日かかってやった部屋を、数時間でピカピカにします。
それを見るとですね。オーナーさんは思うのです。
『あ、もうプロに任せよ』って。
ということで、清掃の仕事は必ずあります。
そして清掃業をしている限り、毎日清掃する訳ですから、イヤでも汚れのプロになるし、掃除の腕はイヤでも上がるので、どんどん立場は強固になっていきます。
続けるだけでプロになれるなんて、なかなかおいしい仕事です。
やりたい仕事じゃないが条件に当てはまった
私たち夫婦は、清掃のプロになるぞ!お〜!と意気込んでもなかったし、どうしてもやりたくて始めた仕事が清掃業だったのではありません。
ただ、自分たちの条件に当てはまっただけ
それだけが、起業に清掃業を選んだ理由でした。
よく起業といえば
- コンテンツを売る
- コンサル業
- コーチング業
- 初月から売り上げ3桁
- 自宅でできる
とか、見つけませんか?
流石に起業したい人なら、見たことあるし、調べたことあるし、首突っ込んでみたこともあるかもしれません。
アレらはですね、
実際に成立します。稼げますよ、真面目にやれば。
でもね、あれらの起業もね、成功させてる人は、
- 私のやりたいことはコンテンツを作ること!
- コンサル業をずっと夢見てきた!やりたい使命!
みたいにね、「プロ野球選手を目指す」みたいに好きなことに人生をかけて起業したんじゃ無いんです。
とにかく稼ぎたかったんです。
とにかく起業で人生を成り立たせたかったんです。
何でもいいと腹を括って、「稼ぎたいんだ!」という目的のために「稼げる方法を使っただけ」なのです。
サラリーマンじゃなく、とにかく起業したい。起業で自分の人生を繋げることができる状態になりたい。
でもコンテンツなんて持ってない。コンサルできるか分かんない。いや、できなかった。
そんな人は、起業のファーストステップとして、清掃業やっちゃえば良いのに〜と私は思っています。
掃除ならできるっしょ?
イヤならやめても、初期投資かかってないから借金残らないし。いつでもやめられるし。
やりたいことが見つかった時には、清掃業で起業した成功体験を持ってるんだから、次の起業の流れも同じようになぞるだけだし。
清掃は需要あるから、始めたら結構すぐ仕事も見つかるし。
他にもオススメなファースト起業なんて、たくさんあるだろうけど、私たちはたまたま出会ったのが清掃業だったので、ファーストステップとして活用しました。
自然界の動物たちは、自然界のルールに順応して循環の中で生きるから、『ゴミ』っていう概念『汚い』っていう概念のものを生み出さない。
一方で今の人間は、ゴミしか作らない。
ということは掃除って、今の価値観の人間たちが存在する限り、1000%なくならないんだよね…
だから、清掃業は無くならない。
だから、何の特技のない私たちでも、起業としてあっさり軌道に乗ったんです。
「清掃業なんてヤダ。カッコ悪い。底辺で恥ずかしい。」
とかプライド?偏見?を守ると、できない仕事かもしれません。
けど、プライドを捨てちゃったら、ほんとにパラダイスでしかなかった!(笑)楽勝でした。
まとめ
これが私たちが目の当たりにした清掃業のリアルだったのです。
プライドを捨て、
「ぶっちゃけサラリーマン以外で稼ぎたいだけ!」
「起業で人生成り立たせられれば何でもオッケー!!!」と本音を丸出しにした結果、
「じゃ、こんなのどう?」
って神様が持ってきてくれたのが「清掃業はやめとけ」の底辺とかいう清掃業でした。
でも、私たちの目的がハッキリしてたから、
世の中の一般的なプライド色眼鏡を通さずに清掃業を見ることができて、
「あれ?これじゃね??」
と神様からの提案を素直に受け取ることができました。
結果は、清掃業で会社を作って6年が経ち、起業成功!と言って良いんじゃないか?と感じています。
そして今、やりたいことの幅はどんどん大きくなっているのですが、清掃業で起業した流れや成功体験を持っているので、次にどんなことがやりたくなっても、同じように始めれば良いんだという自信や流れや知識も育ちました。
清掃業はやめとけという世の中の風潮の裏側で、ちゃっかり清掃業で成功している人間はちゃんと存在します。
もし、「まずは起業が成功すれば良いんだ。」「稼げる自信が欲しいんだ」それが心の中で一番大きいんだ!という人は、清掃業も視野に入れてみてはいかがでしょうか??
もしかすると、想像してなかったような幸せを掴めちゃうかもしれませんよ?
タクヤとハルカより